2013 年 56 巻 3 号 p. 200-207
目的:本研究の目的は,抜去歯を使用してMTA (mineral trioxide aggregate)の根尖部辺縁封鎖能と硬度におけるさまざまな汚染物の影響を評価することである.材料と方法:51本のヒト単根歯に対して,ガッタパーチャポイントとシーラーを用いて側方加圧根管充填を行った.歯根面をコーティングした後に,歯根尖切除法と根尖部において窩洞形成を行い,無作為に5群に分類した.1群は蒸留水(対照),2群は生理食塩液,3群はアドレナリン,4群は血液および5群はEDTA溶液で汚染させた.汚染物を混入したMTAで充填した後,浸漬し漏洩試験を行った.試料は2等分し,微小硬さ試験を行い,実体顕微鏡および走査電子顕微鏡による観察を行った.結果:1群は形態学的に密封された辺縁封鎖が観察された.しかし,2〜5群の一部には部分的な辺縁封鎖と象牙質とMTA間またはMTA中に空隙が観察された.1群はほかの群に比較して有意に漏洩は少なかったが,すべての実験群では有意差は認められなかった.5群の微小硬さは1群と比較すると有意に低かった.結論:MTAの硬化時における汚染物の混入は,辺縁封鎖能を低下させることが示唆された.