日本歯科保存学雑誌
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原著
齲蝕原因菌に対するオゾンジェルの抗菌効果
小泉 直也鈴木 英明
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2013 年 56 巻 3 号 p. 215-222

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抄録

目的:医療分野で頻用されているオゾンは,OHラジカルを生じさせ,その酸化分解作用により高い殺菌力をもっといわれ,しかも耐性菌を生じさせないという特徴を有している.歯科医療においても,殺菌・消炎・止血への効果が着目され,オゾン水を用いた義歯の洗浄・消毒や歯周ポケット,根管治療時の洗浄液としての可能性などが検討され,さらなる新しい用途の開発が期待されている物質である.しかしながら,オゾン水はオゾンの半減期が短いため,殺菌作用の持続時間が短く,その適用範囲が限定されるという問題点がある.そこで,殺菌力を長期間保存し,さらに適用範囲を拡大することを目的としたオゾンジェルが開発されている.著者らは齲蝕予防の可能性を検討する目的で,その抗菌作用についてin vitroにて実験を行った.材料と方法:実験には,Streptococcus mutans PS-14株,Streptococcus sobrinus 6715株,Actinomyces naeslundii ATCC 19246株を用い,2倍段階法にて最小発育阻止濃度の計測を行った.また,resting cellに対する殺菌作用の検討を濃度的変化ならびに経時的変化について行った.成績:1. S. mutansに対する最小発育阻止濃度は250μg/mlであった. 2. S. sobyinusに対する最小発育阻止濃度は250μg/mlであった. 3. A. naeslundiiに対する最小発育阻止濃度は100μg/mlであった. 4. オゾンジェルの抗菌作用はS. mutans, S. sobrinusおよびA. naeslundiiのresting cellに対して殺菌的であった.結論:以上のことよりオゾンジェルは,齲蝕原因菌に対して顕著な殺菌作用が認められ,抗齲蝕作用を有することが示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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