日本歯科保存学雑誌
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ファイバー強化型コンポジットレジンポストを用いて直接法で支台築造したポストの維持力
副島 寬貴武本 真治小田 豊河田 英司
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2015 年 58 巻 3 号 p. 185-191

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抄録

 目的 : 根管処置歯に対して, ファイバー強化型コンポジットレジンポスト (FRCポスト) と支台築造用レジンを用いた支台築造法が多用されている. 本研究では, FRCポストを用いた直接法による支台築造法でのポスト&コアの維持力を明らかにすることを目的として, 根管処置した歯根に対してセルフアドヒーシブレジンセメント, セルフエッチングプライマー併用型コンポジット系レジンセメントおよび支台築造用レジンとボンディング材を併用する接着システムでFRCポストを植立し, そのポストの引抜き維持力を調べた.
 材料と方法 : 牛歯歯根に根管処置し, 直径3mmのドリルでポストスペースを形成した. このポストスペースに, セルフアドヒーシブレジンセメント, セルフエッチングプライマーを併用するコンポジット系接着性レジンセメントを用いてFRCポストを植立した. さらにコンポジットレジン修復と同様に, ボンディングシステムにより支台築造用レジンでFRCポストを植立するシステムを用いてポストを植立した. ポストを植立した牛歯歯根は1日または14日間, 37°Cの水中に保存した後, 万能材料試験機によるポストの引抜き試験を行い, ポストの引抜き維持力を調べた. また, 引抜いたポストの破断形態をデジタルマイクロスコープで観察した.
 成績 : 接着初期のポストの引抜き維持力には接着システムによる有意差が認められなかった. 14日水中保存したポストの維持力は, セルフエッチングプライマーを併用したコンポジット系レジンセメントがほかの接着システムより大きく, レジンセメントの凝集破壊が多く認められた.
 結論 : 直接法で植立したポストの引抜き維持力は, 接着初期では接着システムによる差異は認められないが, 保存期間14日後では従来型のセルフエッチングプライマーを併用したコンポジット系レジンセメントで植立したポストの維持力は増加し, セルフアドヒーシブセメントより大きな維持力を示した.

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© 2015 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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