日本歯科保存学雑誌
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原著
フッ化物徐放性材料の象牙質表面への塗布による脱灰抑制効果
大木 彩子松田 康裕橋本 直樹奥山 克史船戸 良基川本 千春小松 久憲佐野 英彦
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2016 年 59 巻 4 号 p. 359-369

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抄録

 目的 : フッ化物バーニッシュは, 欧米諸国でう蝕の予防などに用いられているフッ化物徐放性材料である. 本研究では, フッ化物バーニッシュの材料除去後の残存状態と, 自動pHサイクル装置を用い, 材料を塗布した根面象牙質の脱灰抑制効果およびフッ素の取り込みを検討した.

 材料と方法 : 材料は, フッ化物バーニッシュ2種類 (CTX2 Varnish (FVC), White Fluoride Varnish (FVB) ) と従来型グラスアイオノマーセメント (Fuji Ⅸ GP FAST CAPSULE (FN) ) とした. 使用したヒト抜去大臼歯 (n=9) のうち1本は, 歯根面表層より10×5mmの試料を3個作製し, 各歯表面に各材料をそれぞれ塗布し, 37°C脱イオン水中に24時間浸漬した. その後, 塗布した材料の半分を除去し, SEM, EDS, In-air μPIXE/PIGEにより材料除去前後の歯表面を観察し, 残存状態を評価した. 残りの8本はそれぞれ頰舌的・近遠心的に4分割した. 各歯の3分割試料にそれぞれ各材料を塗布し, 残りは材料を塗布しないコントロール (Con) とした. 37°C脱イオン水中に24時間浸漬後, 塗布部位が含まれるように歯軸に平行に切断し, 材料除去後, 厚さ約200μmに調整した. その後, 材料を塗布した面以外すべてをワックスで被覆した. 自動pHサイクルを連続4週間稼働させ, 各試料のTransverse Micro Radiography (TMR) をpHサイクル開始前, 2, 4週後に撮影し, CEJに近接した象牙質の脱灰量の変化を評価した. また, pHサイクル開始4週後にIn-air μPIXE/PIGEを行い, フッ素の取り込みを評価した.

 成績 : 材料除去後に一部, 材料の残存を認めた. 脱灰量は, 2週後ではすべての材料群でConと比較して有意に低い値を認めた. 4週後ではFVBおよびFNはConと比べ有意に低い値が認められた. またフッ素の取り込みでは, 全群間に有意差は認められなかったが, 材料塗布群はConと比較して多くのフッ素が取り込まれる傾向を示した.

 結論 : フッ化物徐放性材料は, 機械的に材料を除去した後も材料が一部残存し, またフッ化物バーニッシュは, グラスアイオノマーセメントと同程度に根面象牙質の脱灰抑制効果があり, フッ素の取り込みを認めた.

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© 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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