日本歯科保存学雑誌
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原著
スリーブを用いたファイバーポスト支台築造体が示す曲げ強さと耐久性の検討
吉居 慎二清水 博史西野 宇信諸冨 孝彦鷲尾 絢子西藤 法子北村 知昭
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2016 年 59 巻 5 号 p. 418-424

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抄録

 目的 : 本研究では, ファイバーポスト支台築造システムの1つであるi-TFCシステムの補強部材であるスリーブが築造体の強度に与える影響を, 通常根管と細い根管の2つの場合で, 2点曲げ強さ試験および繰り返し衝撃試験を用いてほかのファイバーポストシステムと比較・検討した.

 材料と方法 : 直径および形状の異なる7種類のファイバーポストと1種類のスリーブを試験に用いた. 試験片は, 通常根管と細い根管の2種類についてファイバーポスト支台築造体および全部金属冠による修復を想定して作製された. 2点曲げ強さ試験は曲げ強さ試験機を用いて分析し, 繰り返し衝撃試験は作製した衝撃試験機により築造体が破折するまでの回数を計測することで耐久性を分析した. 計測された曲げ強さ (N) および破折するまでの回数に関しては, ANOVA Tukey testにて有意水準5%で統計学的有意差の検定を行った.

 成績 : ファイバーポストの直径の増加は2点曲げ強さを大きくするが, 繰り返し衝撃試験で評価される耐久性には関連しない傾向が認められた. 繰り返し衝撃試験では, スリーブを併用したファイバーポスト (φ1.1mm) ではほかのサンプルと比較して耐久性が著しく高かった.

 結論 : スリーブを用いることにより耐久性が著しく向上することから, i-TFCシステムにおけるスリーブの使用は効果的な補強となることが示唆された.

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© 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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