日本歯科保存学雑誌
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原著
施設入居高齢者の訪問歯科診療における歯科衛生士業務の実態調査
渡邉 友美野村 玲奈土藏 明奈堀 十月高橋 明里日下部 修介髙垣 智博横矢 隆二服部 景太岩尾 慧藤原 周池田 正臣二階堂 徹
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2023 年 66 巻 3 号 p. 173-178

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抄録

 目的:施設入居高齢者の訪問歯科診療における歯科衛生士の業務内容について調査し,さらに患者の要支援・要介護度との関連性について検討した.

 材料と方法:朝日大学医科歯科医療センターにて訪問歯科診療を実施する高齢者施設6施設を抽出し,要支援・要介護認定を受けた計384名(男性123名,女性261名,平均年齢83.9歳)を調査対象とした.患者の診療録,口腔ケア業務記録から,歯科衛生士の業務内容(歯面清掃・義歯管理指導・粘膜ケア・口腔機能訓練・ミールラウンド・摂食機能療法)について調査した.調査結果は,患者の要支援・要介護レベルに分類し,歯科衛生士の各業務の占める割合について,Pearsonのカイ2乗検定とFisherの正確確率検定およびオッズ比を用いて統計学的に解析した.危険率はBonferroniの方法を用いて5%に調整した.

 結果:要支援・要介護度別の歯科衛生士業務において,ミールラウンドと摂食機能療法は0であった.「要支援」群と「要介護」群では業務内容が異なり,「要支援」群では歯面清掃と義歯管理・指導のみ,「要介護」群では粘膜ケアと口腔機能訓練が加わった.また「要介護」群のなかでは「要介護3」以上の業務頻度が高い傾向が認められた.

 結論:訪問歯科診療において歯科衛生士の業務内容は,要支援・要介護度によって影響を受けることが明らかになった.

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