歯科医学
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博士論文内容要旨および論文審査結果要旨
ヘッドギアとバイオネーター併用による台湾人成長期上顎前突症患者の顎顔面頭蓋の変化(大阪歯科大学大学院歯学研究科博士(歯学)学位論文内容要旨および論文審査結果要旨の公表)
鄭 文明
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2007 年 70 巻 3_4 号 p. A11-A12

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抄録

成長期における上顎前突症の矯正治療において,上顎骨の成長を抑制するためにヘッドギアを用いるとともに,下顎骨の劣成長を改善するためにバイオネーターが使用される.しかしながら,それぞれの装置単独での効果に関しての報告は多いが,ヘッドギアとバイオネーターを併用した治療効果に関する報告は少ない.本研究の目的は,下顎の劣成長を伴う成長期の上顎前突症に対し,ヘッドギアとバイオネーターを併用した時の顎顔面頭蓋における治療の効果を検討することである.被験者は上顎前突症患者から選択した.選択基準は上下顎骨格の差を示すANB角が5°以上で下顎骨が劣成長の症例とした.症例は9歳から13歳の男子35名,女子35名である.被験者全員にヘッドギアとバイオネーターを平均21か月併用し,治療前後の側貌頭部X線規格撮影を用いて,Downs分析,Northwestern分析およびLinear分析を行い,得られた計測値と矯正学講座所蔵の台湾人正常咬合者の計測値と比較検討した.その結果,上顎突出度,Y軸角,SNA角,ANB角において5%以下の危険率で有意差が認められ,上顎前突の傾向が減少する傾向が認められた.また,下顎は骨体長に大きな有意差を認められたが,mandibular plane angleが増大し下顎骨の成長変化は下顎の後下方回転を伴うことがわかった.以上の結果より,ヘッドギアおよびバイオネーターを用いた治療は,成長期台湾人の上顎前突症治療において有効であることが示されたが,下顎の後下方回転を可能な限り少なくすることが治療上好ましいことが示唆された.

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© 2007 大阪歯科学会
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