歯科医学
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Prevotella intermedia由来リコンビナントGroELタンパクの作製
本山 浩司山中 武志福島 久典
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2008 年 71 巻 2 号 p. 156-164

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抄録

これまでに我々は,歯周病原細菌のひとつであるPrevotella intermedia (P. intermedia)の熱ショックタンパク遺伝子転写レベルが,菌体外多糖を産生しバイオフィルム様構造を有する臨床分離のP. intermediaにおいて上昇していることを,マイクロアレイ分析とreal-time RT-PCR法により確認し報告してきた.近年の研究で,細菌由来の熱ショックタンパクの多くは,菌体内で分子シャペロンとして働くだけでなく,宿主細胞に対する様々な生物学的活性をもったmoonlighting proteinとして働いていることが明らかにされつつあるP. intermedia熱ショックタンパクの機能を今後さらに追及するため,まずGroELのリコンビナントタンパク作製を試みた.データペース上のP. intermedia strain 17のgroEL配列をもとにプライマーをデザインし,strain 17のゲノムDNAをテンプレートとしてgroELのPCR増幅を行った.得られたPCR産物の配列がデータベース上のgroELと相同であることをシークエンシングにより確認したのち,得られたPCR産物をタンパク発現ベクターであるpETにligationし,目的遺伝子を含むpGELを作製した.pGELをE. coli BL21 (DE3) pLysSもしくはBL21 (DE3) pLysEに加え,通法に従い熱ショックにより形質転換した.目的タンパクの発現はSDSゲル電気泳動により確認した.得られたタンパクの相同性はN末端アミノ酸配列の相同性により確認した.pGELにより形質転換したE. coli BL21 (DE3) pLysSとBL21 (DE3) pLysEにisopropyl-β-D(-)-thiogalactopyranoside (IPTG)による発現誘導を行い,菌体タンパクをSDSゲル電気泳動したところ,両者において目的タンパクの分子量に一致したタンパクの発現を認めた.E. coli BL21 (DE3) pLysS pGELにおける発現誘導がBL21 (DE3) pLysE pGELより顕著であった.N末端アミノ酸配列を調べたところ,10残基の配列はP. intermedia GroELと一致した.以上の結果より,P. intermedia GroELをpET systemとE. coli BL21 (DE3) pLysSを用いてリコンビナントタンパクとして発現させ,今後のタンパク機能解析に応用可能であることが示唆された.

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© 2008 大阪歯科学会
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