歯科医学
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大阪歯科学会例会講演報告
第551回大阪歯科学会例会
大阪歯科大学歯科放射線学講座
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2016 年 79 巻 2 号 p. 78-79

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抄録

歯科用CBCT 画像の寸法安定性について森友理恵・四井資隆・新井是宣・清水谷公成・馬場俊輔(大阪歯大・大学院・口腔インプラント,大阪歯大・歯科放射線,大阪歯大・口腔インプラント)断層画像による画像診断は,歯科用コーンビームCT(以下,CBCT)の普及に伴って,インプラント治療を行う際には不可欠とされている.撮影範囲(以下,FOV)内での位置による計測精度の差について検証したものはない.そこで本研究は,FOV 内の各位置におけるCBCT 画像計測値と実測値を比較し,分析することを目的とした.撮影ファントムは,市販のCDR(直径120 mm,厚さ1.2 mm)を1.2 mm 間隙で,30 枚重ね合わせたものを作成した.撮影機材はUni3DMultiOS(京セラメディカル社,以下,Uni)およびMORITA 3D Accuitomo F17(モリタ,以下,3DX)を使用した.撮影条件は,電流が4 mA,電圧が90 kV, 80 kV, 70 kV とした.またFOV は,各装置の歯科用での最大FOV に設定し,Uniでは12×8.5 cm, 3DX では8×8 cm とした.画像計測にはOsiriX ver.5.8.1(pixmeo)を用いた.実測には電子ノギス(DIGIMATIC CALIPER, Mitutoyo corporation)を用いた.計測点は,FOV 外周端部の上部,中部,下部に設定し,CDRを放射状に8 分割した接点8×3 点とした.またFOV 中心部では,CDRの中心孔の上部・中央部・下部の3 点を計測点とした.実測と画像計測は各5回ずつ行った.計測後,各部位におけるCBCT 画像計測値と実測値との誤差を算出した.また,歪みは,算出された誤差/実測値×100(%)で算出したところ,以下の結果を得た.Uni での計測の結果,FOV 端部では,上部での歪0.4%,端中央部での歪0.1%,端下部での歪1.1% であり,誤差の範囲は0〜0.8 mm であった.FOV 中心部では上部での歪0.4%,中央部での歪0.4%,下部での歪0.9% であり,誤差の範囲は0〜0.4 mm であった.電圧が低いと外周部と中心部共に誤差が大きくなる傾向を示した.3DX での計測の結果は,FOV 端部では,端上部での歪0.4%,端中央部での歪0.5%,端下部での歪0.9%であり,誤差の範囲は0〜0.4 mm であった.FOV 中心部では上部での歪2.6%,中部での歪1.3%,下部での歪1.4% であり,誤差の範囲は0.2〜0.7 mm であった.以上のことから,誤差の程度や特性は機種によって異なるが,90 kV においては端部の誤差は近似した.電圧が低いと誤差は大きくなる傾向で,FOV 端部全域と中心部の上部や下部においては誤差が大きくなる傾向が明らかとなった.この歪が生じるのは,CBCT の撮影機構自体に問題がある.上部や下部では射入されるエックス線の垂直的角度が大きくなり,外周部ではそれがさらに顕著となることから,元画像に歪が生じると考える.

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