色材協会誌
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固体表面における静的・動的撥水性
古田 勤中島 章
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2011 年 84 巻 11 号 p. 373-379

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抄録

固体表面の撥水処理は,水を固体表面から容易に除去できるため,さまざまな工学分野で利用されている。しかしながら撥水性固体表面に高度な水滴除去性能を付与するためには,固体表面の構造や組成,ならびに,それらの配列が,液体の静的・動的濡れ性とどのように関係するのかを明らかにする必要があり,単に表面エネルギーを下げるだけでは,必ずしもこのような撥水性能は得られない。これまでさまざまな撥水性表面が開発され,水滴の静的撥水性が研究されてきており,近年では,高速度カメラの普及により,水滴の動的な挙動についての研究も増加している。これらの研究を通じて,撥水表面上での水滴の転落や蒸発などの挙動は,固体表面のナノレベルでの構造や組成に影響を受けることが明らかになりつつある。本稿では,材料科学の立場から,静的・動的撥水性と固体表面の特徴との関係について,最近の筆者らの研究を中心に解説する。

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© 2011 一般社団法人 色材協会
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