色材協会誌
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総説
酸化チタンナノ結晶が拓く省エネ技術
-メゾスコピック酸化チタン電極の光導電性と分子構造太陽電池-
萬関 一広柳田 祥三
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2015 年 88 巻 3 号 p. 62-66

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抄録

色素増感太陽電池(DSSC)を構成するメゾスコピック酸化チタンナノ結晶(nc-TiO2)電極の優れた光導電性について論じる。また,ポリアニリン誘導体(エメラルディン型フェニルキャップアニリンテトラマー:EPAT)およびtert-ブチルピリジン(TBP)を含む非腐食性電解質を増感色素Z907からなるnc-TiO2太陽電池に導入して良好な光電変換効率が得られることを述べる。DFT計算による分子軌道の解析から,電解質内でのEPATの自己組織化が示唆されている。とくに,nc-TiO2電極内に形成した水素結合からなる二量化EPAT-H-TBP種:(EPAT-H-TBP)2が,Z907/EPAT/TBP界面を基盤とする分子構造太陽電池において一方向の高い電子輸送性の実現に寄与する。

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© 2015 一般社団法人 色材協会
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