色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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88 巻, 3 号
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―小特集 酸化チタンをめぐる最近の話題―
総説
  • -メゾスコピック酸化チタン電極の光導電性と分子構造太陽電池-
    萬関 一広, 柳田 祥三
    2015 年88 巻3 号 p. 62-66
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
    色素増感太陽電池(DSSC)を構成するメゾスコピック酸化チタンナノ結晶(nc-TiO2)電極の優れた光導電性について論じる。また,ポリアニリン誘導体(エメラルディン型フェニルキャップアニリンテトラマー:EPAT)およびtert-ブチルピリジン(TBP)を含む非腐食性電解質を増感色素Z907からなるnc-TiO2太陽電池に導入して良好な光電変換効率が得られることを述べる。DFT計算による分子軌道の解析から,電解質内でのEPATの自己組織化が示唆されている。とくに,nc-TiO2電極内に形成した水素結合からなる二量化EPAT-H-TBP種:(EPAT-H-TBP)2が,Z907/EPAT/TBP界面を基盤とする分子構造太陽電池において一方向の高い電子輸送性の実現に寄与する。
  • 磯部 薫
    2015 年88 巻3 号 p. 67-72
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
    二酸化チタンの最大の用途は白色顔料としての用途で,塗料,インキ,プラスチックス,紙,ゴム,化繊,化粧品など,身の回りの幅広い分野で使用されている。顔料の大略の性質はその化学構造と結晶形で大凡決まるが,光学特性や樹脂マトリックス中でのフィラーの挙動や光学特性は同一化学構造でも粒子の大きさや形状,表面性質などによって異なってくる。顔料の機能は単に塗料を着色するばかりでなく,粒子形態や表面性状などの制御技術を駆使することにより,塗料(塗膜)の諸性質や諸物性にも影響を与える。 実際に,無機顔料が着色材以外の用途,とくに機能性材料として使用されている例はいくつかある。このような粒子径・粒子形態制御技術の観点から二酸化チタンに関して,機能性材料としての展開を総説する。
解説
  • 山口 浩一, 伊藤 美智子, 高島 成剛, 岡 真佐人, 浅野 浩志
    2015 年88 巻3 号 p. 73-77
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
    われわれは液面プラズマ(気中に配置した電極と溶液中に浸漬した電極間に高電圧を印加すると気中電極の先端部と液面との間で生じるプラズマ)により微粒子酸化チタンを水中に良好に分散可能であることを見いだした。プラズマ処理により酸化チタンの表面が改質され,その等電点が変化することにより,分散液のpHが本来の酸化チタンの等電点近傍でも安定した分散状態が維持される。本方法は分散剤などの薬剤を使用せずに分散処理が可能であり,重金属のコンタミネーションなど分散液中への不要成分の混入を避けられる特徴を有する。本稿ではこの液面プラズマを利用した分散処理についてその概要を紹介するとともに,今後の展望について述べる。
最新接着講座(第14講)
耐久・防食講座(第6講)
  • 岩瀬 嘉之
    2015 年88 巻3 号 p. 85-89
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
    近年,日本国内では社会資本の劣化が進行し,鋼構造物の維持管理の重要性が改めて認識されるようになってきている。防食塗装を施した鋼構造物の維持管理は,塗膜外観の目視評価によるところが大きい。しかし,一時的な外観評価だけでは,被害を未然に防ぐ予防保全に対して十分な管理方法とは言えない。防食塗膜の寿命を予測し,計画的な修繕により予防保全が達成され,加えて,修繕費用を含めたライフサイクルコストの低減にも繋がる。本報では,ISO 13129に認定されている電気化学的測定手法の一つであるカレントインタラプタ法の原理と適用事例,ならびに維持管理の効率化について紹介する。
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