2019 年 92 巻 1 号 p. 7-13
局在表面プラズモン共鳴を示す金ナノ構造体を磁性体と複合化して,磁気機能と光学機能を融合したナノメディシンデバイスへの応用を目指した材料創製について紹介する。光熱変換によるがん治療用発熱体,磁気光学効果による診断用センシングラベルを開発するために,磁気微粒子上にナノシェルやナノ粒子集積体などの金ナノ構造体を無電解めっきの手法で形成した。金ナノ構造体の形態的特性に応じて共鳴吸収波長を調整することができるため,その応用に対応して金の堆積条件を探索した。金ナノ粒子が離散的に堆積した状態から連続膜に近い構造として多孔性のナノシェルになるにつれて,その吸収波長帯域が長波長側にシフトした。