1967 年 40 巻 5 号 p. 211-217
アルキド樹脂およびエポキシ樹脂エステル皮膜の構造 (橋カケ密度・油長・油の種類・フエニル核濃度など) と膨潤性との関係を明らかにする目的で速度論的立場から溶剤の拡散現象を検討した。皮膜中への溶剤の拡散は膨潤初期において膨潤度-√時間関係が直線になりFickの法則が成立する。メタノール・ベンゼン・アセトンの拡散係数 (D) は常温でいずれも10-7-10-9 cm2/sec, 拡散の活性化エネルギー (U) は10-15 kcal/molである。同系列の樹脂に関しては橋カケ間分子量 (Mc) が小さいほどDは小さく橋カケ点は溶剤分子の拡散行程を引き伸ばす迂回効果を現わす。同時にUは増大する。またDやUは樹脂皮膜と溶剤との親和力にも影響される。この点については樹脂の溶解性パラメーターや高分子溶剤相互作用係数と深い関連性がある。