色材協会誌
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顔料-水分散系の研究 (第5報)
湿式酸化処理カーボンブラックへの非イオン性界面活性剤の吸着
伊藤 征司郎桑原 利秀
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1974 年 47 巻 10 号 p. 488-495

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抄録

硝酸で種々の条件で酸化処理したカーボンブラックの処理による表面特性の変化と, これらのカーボンブラックへの非イオン性界面活性剤 [ポリオキシエチレンオクチルフェニルニーテル (OP-n) とポリオキシエチレソノニルフェニルエーテル (NP-n) を使用。ただし, nはエチレンオキシドの付加モル数] の水溶液からの25℃における吸着について検討した。その結果, 強く酸化処理したカーボンブラックほど, 全酸素量や表面官能基の全酸性基量などの増加により表面親水度が増し, 表面親水度と全酸素量などとの間には直線関係が成立した。これらのカーボンブラックへの界面活性剤の吸着は表面親水度の大きい試料ほど吸着量は少なく, 吸着の始まる濃度は高濃度側に移行した。同一試料への吸着量は親油基が同じ界面活性剤ではηが大きいほど減少し, nがほぼ同じ界面活性剤では比較的表面親水度の小さい試料へは親油基が長鎖であるNPの方が吸着量が多いが, 表面親水度の大きい試料への吸着量は逆にOPの方が多かった。
また, いずれの系でも吸着等温線はLangmuir型であったが, c.m.c.と飽和吸着に達する濃度とは完全には一致しなかった。飽和吸着量から算出した界面活性剤1分子当たりの占有面積は気-液界面における値に比べてかなり大きかった。占有面積と表面親水度や全酸素量との間には直線関係が成立した。

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