漆の改質剤あるいは増量剤としての混合物を目的に, 新規トリアジン樹脂を合成し, 漆/トリアジン樹脂混合塗膜の物性を中心に検討した。結果をまとめると次のようである。
(1) 漆との混合状態は良好で, 貯蔵中の分離・増粘・ゲル化などは認められなかった。
(2) 応力~ひずみ性や室温の弾性率は低下が認められなかったが, トリアジン樹脂含有量の増加にともない, 高温弾性率やガラス転移温度は低下した。しかし実用上問題のない程度であり, 増量剤的効果が期待できた。
(3) トリアジン樹脂含有量の増加にともない, 漆膜の透明性は向上し, そのため色漆膜の発色性の向上など期待できた。
以上の結果より, 今回合成したトリアジン樹脂は漆との相容性が良好で, 漆の改質剤や増量剤として有効であると考えられた。