1987 年 60 巻 11 号 p. 607-613
現実に被塗物に塗装された塗膜にできるだけ近い形で塗膜の吸湿過程を測定するため, 塗装した電極を水中に浸せきし, そのインピーダンスの変化から容量成分の時間的変化を求め, Brasherの式を用いて含水量に換算し, これらのデーターから溶解度係数, 拡散係数, および透過係数を求めるシステムを作成した。
イソシアネート硬化型のエポキシ樹脂塗料を試料として用い, 焼き付け温度を140℃から200℃まで変化させ, 各々20℃から80℃まで10℃おきに測定を行った。この中で最も低温で焼きつけた試料については, Arrheniusプロットで良好な直線関係が得られたが, 測定温度内にガラス転移点を持つと思われる試料については屈曲点を示し, 屈曲点以下の温度では測定結果が大きくばらついた。