色材協会誌
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ビニルエーテルブロックカルボン酸およびその応用
中根 喜則石戸谷 昌洋
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1994 年 67 巻 12 号 p. 766-774

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抄録

一液型塗料として使用可能な架橋システムを開発するためカルボン酸をビニルエーテルによりヘミアセタールエステルとしてブロック化する手法について検討した。
まず, カルボン酸のブロック化反応は, ビニルエーテルをカルボキシル基に対して過剰に添加し, 触媒として酸性リン酸エステルを用いることにより, 25℃で定量的に進行するということを見出した。
次に, このブロックカルボン酸におけるビニルエーテルの解離反応は140℃以上の温度で容易に進行し, その活性化エネルギーはカルボン酸/エポキシドのエステル化反応の活性化エネルギーよりも大きいことを見出した。すなわち, このブロックカルボン酸を用いたエポキシドとの架橋システムにおいては, ビニルエーテルによるブロック化が有効に作用することがわかった。
さらに, 貯蔵安定性の検討から, このブロックカルボン酸自身およびそれとエポキシドとの系は, ともに50℃×30日間の貯蔵を行っても安定であることがわかった。
以上, ビニルエーテルブロックカルボン酸を用いることにより, 新しい一液型カルボン酸/エポキシド架橋システムが設計可能であることが明らかにできた。

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