色材協会誌
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両親媒性フタロシアニン誘導体の合成とそのサイクリックボルタンメトリー
坂本 恵一大野(奥村) 映子渡辺 雅樹加藤 拓
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2005 年 78 巻 3 号 p. 101-111

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抄録

アルキルベンゾピリドポルフィラジンのピリジン環は窒素を四級化することで水溶性となり, 両親媒性となることが期待できる。両親媒性フタロシアニン誘導体は次世代のガン光線力学療法用光増感剤として良好な化合物になると予測できる。そこで亜鉛ビス (1, 4-ジデシルベンゾ) ビス (3, 4-ピリド) ポルフィラジンおよび亜鉛ビス (1, 4-ジデシルベンゾ) ビス (2, 3-ピリド) ポルフィラジンのジメチル硫酸, ジエチル硫酸およびモノクロロ酢酸による四級化を検討した。
アルキルベンゾピリドポルフィラジンは, ジメチル硫酸およびモノクロロ酢酸を用いた場合, 四級化が達成でき, ジエチル硫酸からの生成物も両親媒性を示すことがわかった。
得られた両親媒性化合物のサイクリックボルタンモグラムを測定した。
すべての四級化生成物の酸化還元電位は四級化前の化合物に見られるピークが観察された。電子授受能力は四級化によって変化しないと考えられる。
さらに亜鉛ビス (1, 4-ジデシルベンゾ) ビス (3. 4-ピリド) ポルフィラジンの位置異性体をジメチル硫酸にて四級化した。
同一条件下において測定した四級化前後の位置異性体のサイクリックボルタンモグラムを比較したところ, 四級化後の形状が明瞭となっていた。位置異性体の四級化生成物は, 四級化の前に観察されたアノード波およびカソード波があらわれていた。位置異性体は四級化によって電子授受能力に変わりないことがわかった。

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