神経眼科
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特集
Fisher症候群
大野 新一郎
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2014 年 31 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

Fisher症候群は,急性に発症する外眼筋麻痺,運動失調,深部腱反射の低下を3徴とする疾患であり,Guillain-Barré症候群の亜型と考えられている.先行感染の関与が示唆されており,抗GQ1b抗体が高率に陽性となる.自験例の解析では,若い男性に多く,約9割において先行感染の既往が認められた.外眼筋麻痺は全外眼筋麻痺が少なく,外転神経麻痺が大半であることが分かった.複視の回復期間は平均約70日であった.GQ1b抗原は外転神経,滑車神経,動眼神経の髄外部のランヴィエ絞輪部周囲,シュワン細胞に多く局在するとされている.そこに抗GQ1b抗体が結合して伝達障害をきたし神経麻痺が発症すると考えられている.また近年,発症に関与するのは1つのガングリオシドだけではなく,2種の異なるガングリオシドからなるガングリオシド複合体に対する抗体の発症への関与が見いだされている.また分子相同性仮説に基づく発症機序,補体系の関与等が報告され,分子遺伝子レベルでの病態解明がされつつある.

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© 2014 日本神経眼科学会
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