神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
Print ISSN : 0289-7024
ISSN-L : 0289-7024
31 巻, 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
日本神経眼科学会認定 神経眼科相談医制度
特集
  • 敷島 敬悟
    2014 年 31 巻 1 号 p. 3-4
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
  • 毛塚 剛司
    2014 年 31 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    視神経脊髄炎は特発性視神経炎に比べると頻度が少なく,難治性となりやすい.近年,抗aquapolin 4(AQP4)抗体と視神経脊髄炎との関係性が明らかにされ,治療への道筋が徐々に解明されつつある.抗AQP4抗体陽性視神経炎は,急激な発症であり,一般的にステロイド抵抗性で,多彩な視野変化をきたす.また,抗AQP4抗体陽性視神経炎ではグリア細胞の1種であるアストロサイトが標的細胞となり,男女比が1:9で女性に多い.一方,抗Myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性視神経炎はオリゴデンドロサイトが標的細胞となり,抗AQP4抗体陽性視神経炎と同様,視神経から視交叉,視索にかけて障害が起きやすい.このため,抗MOG抗体陽性視神経炎は抗AQP4抗体陽性視神経炎とよく似た視野変化を示す.抗MOG抗体陽性視神経炎の予後は比較的良好だが,ステロイド大量療法に対して反応が悪いことがあり,再発しやすい.抗AQP4抗体陽性,もしくは抗MOG 抗体陽性視神経炎の両者とも,治療法はまずステロイドパルス療法を始めに行うが,抵抗性の場合は血漿交換療法や免疫吸着療法,免疫グロブリン大量療法などを行う.
  • 井上 吐州
    2014 年 31 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    甲状腺眼症は自己免疫疾患で,原因としてバセドウ病が最も多いが,甲状腺機能正常,低下症でもみられる.抗甲状腺自己抗体として,TRAb,TSAbが知られており,TSAbの方が眼症の重症度,活動性に相関がみられる.眼症の治療においては眼窩内炎症に対する消炎治療とともに,甲状腺治療としてTRAbの正常化,つまり免疫学的寛解が望まれる.甲状腺治療によりTRAbが低下しにくい症例では,眼症は悪化しやすい.活動性の判定には,MRIによる画像診断が重要である.眼症が全身症状に先行しバセドウ病発症後に進行した症例,アイソトープ治療後に眼症が発症した症例,甲状腺摘出後に眼症が再燃した症例を提示する.新たな治療法も検証されているが,いまだ甲状腺眼症の治療はステロイドを用いた消炎治療,免疫抑制療法が主体である.
  • 鈴木 利根
    2014 年 31 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    重症筋無力症は神経筋接合部が障害される自己免疫疾患である.抗アセチルコリン受容体抗体や抗MuSK抗体が病因と深く関わり,その他にも抗横紋筋抗体などの関連自己抗体が近年報告されている.発症年齢は幼児期と高齢者に2峰性に頻度が高いとされるが,高齢発症の重症筋無力症患者が最近は増加傾向にある.高齢発症者では抗アセチルコリン受容体抗体や抗横紋筋抗体の陽性率が高いことなどから,若年発症者とは病態が異なるとの示唆もある.重症筋無力症の至適治療に関して基準になるエビデンスはいまだないが,抗コリンエステラーゼ阻害薬に比べて,この20年間は副腎皮質ステロイド薬や,免疫抑制剤,胸腺摘出などの免疫治療の比率が増加している.
  • 大野 新一郎
    2014 年 31 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    Fisher症候群は,急性に発症する外眼筋麻痺,運動失調,深部腱反射の低下を3徴とする疾患であり,Guillain-Barré症候群の亜型と考えられている.先行感染の関与が示唆されており,抗GQ1b抗体が高率に陽性となる.自験例の解析では,若い男性に多く,約9割において先行感染の既往が認められた.外眼筋麻痺は全外眼筋麻痺が少なく,外転神経麻痺が大半であることが分かった.複視の回復期間は平均約70日であった.GQ1b抗原は外転神経,滑車神経,動眼神経の髄外部のランヴィエ絞輪部周囲,シュワン細胞に多く局在するとされている.そこに抗GQ1b抗体が結合して伝達障害をきたし神経麻痺が発症すると考えられている.また近年,発症に関与するのは1つのガングリオシドだけではなく,2種の異なるガングリオシドからなるガングリオシド複合体に対する抗体の発症への関与が見いだされている.また分子相同性仮説に基づく発症機序,補体系の関与等が報告され,分子遺伝子レベルでの病態解明がされつつある.
話題
臨床報告
  • 伊藤 直子, 敷島 敬悟, 折津 友隆, 松島 理士
    2014 年 31 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    うっ血乳頭が先行した急性散在性脳脊髄炎(ADEM)による視神経炎を発症した症例を経験した.7歳女児.近医で副鼻腔炎加療中に複視を自覚し,当科紹介受診となった.視力は良好で,両側視神経乳頭腫脹を認めた.髄液検査での圧亢進と細胞増多,および不全外転神経麻痺から頭蓋内圧亢進によるうっ血乳頭と診断し,浸透圧利尿剤で加療したところ改善を認めた.その後,視力低下,RAPD 陽性,両側視神経乳頭発赤が出現し,MRIではADEMに一致する所見が見られたため,両側視神経炎と診断して,ステロイドパルス療法を施行し改善を認めた.初診時の視神経乳頭腫脹は髄膜炎によるうっ血乳頭であり,再診時の視神経乳頭腫脹はADEMによる視神経炎と考えられた.
  • 冨田 靖之, 柿木 雅志, 藤川 正人, 西田 保裕, 大路 正人
    2014 年 31 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    外眼筋炎に視神経障害を合併した65歳女性の一例を経験した.主訴は右眼瞼腫脹と右視力低下であった.初診時矯正視力右(0.6),中心フリッカー値は右眼で軽度低下していた.MRIで右眼内直筋・上直筋・上斜筋の腫大と,内直筋による視神経の圧排を認めた.STIR画像では外眼筋と視神経周囲の信号強度の上昇を認めた.血液検査や所見から,視神経障害を合併した外眼筋炎と診断した.メチルプレドニゾロン80mgから漸減し,10mgを維持量として4か月間投与した.治療後視神経障害は改善し,MRIでも外眼筋の腫大は改善していた.視神経障害は腫大した外眼筋の機械的圧排と,外眼筋の炎症の波及の両者が原因と考えた.
症例短報
  • 石垣 さやか, 新明 康弘, 溝口 亜矢子, 陳 進輝, 石田 晋
    2014 年 31 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2014/07/11
    ジャーナル 認証あり
    症例は交通事故により右眼が失明した43歳の男性.受傷から10年を経て左眼の視力低下を自覚.当初は離婚によるストレスを契機とした心因性視覚障害と診断した.2年後に左眼の眼窩底骨折を起こし,再度左眼の視力低下を訴え,視覚障害者の認定を求めて来院.眼窩底骨折の原因は仕事中のトラブルであり,記銘力の低下や脳MRIでびまん性脳萎縮がみられたため,10年前の交通事故での頭部外傷による高次脳機能障害も疑われた.当初は心因性視覚障害と考えられたが,その後に詐病の要素が加わり,同時に高次脳機能障害の存在も疑われたため,診断を行う上で非常に苦慮した.
日本神経眼科学会認定 神経眼科相談医制度
特別寄稿
最新機器レポート
書評
海外文献
Asian Section
feedback
Top