神経眼科
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症例報告
眼科受診を機に診断され,急激な視力低下を認めたHIV関連進行性多巣性白質脳症の1例
村尾 史子木下 導代武田 美佐垂髪 祐樹尾崎 修治
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2018 年 35 巻 2 号 p. 202-207

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抄録

進行性多巣性白質脳症(PML)は,中枢神経系の日和見感染症で,多彩な進行性の神経症状を呈する致死的な疾患である.今回我々は,眼科受診を機にHIV関連PMLと診断された1例を経験したので報告する.症例は43歳男性.2か月前からの視力低下,視野狭窄を主訴に眼科を受診した.初診時視力は右眼(0.4),左眼(0.15).視野検査にて両眼左下4分の1盲,上半盲を認めた.頭部MRIにて白質に脳浮腫を伴わない多発性,融合性の病変を認め,血液検査,髄液検査の結果HIV関連PMLと診断された.初診から17日後に視力は両眼(0.01)と急激に低下し,highly active antiretroviral therapyを開始するも視力の回復を得られず10か月経過した現在の視力は光覚弁である.原因不明の視力,視野障害を認めた場合,PMLの可能性も考慮する必要がある.

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© 2018 日本神経眼科学会
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