神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
Print ISSN : 0289-7024
ISSN-L : 0289-7024
症例報告
中枢性尿崩症と両耳側半盲を主症状としステロイド全身投与で 症状が改善したサルコイドーシスの一例
宮内 真理佐々木 環
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 35 巻 3 号 p. 337-341

詳細
抄録

 サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患であり,多臓器障害を呈するが,中枢性尿崩症を合併することは比較的少ない.また,尿崩症に加えて両耳側半盲を呈したサルコイドーシスの報告は稀である.今回我々は,中枢性尿崩症と両耳側半盲を主症状としステロイド全身投与で症状が改善したサルコイドーシスの一例を経験した.
 症例:38歳男性.前医にて肺サルコイドーシスと診断ののち尿崩症が出現し,当院内分泌科へ紹介受診.造影MRIにて下垂体腫瘤を認めた.同時期に視界の中心に垂直線が見えるという訴えがあり,眼科を受診したところ,ハンフリー視野計で両耳側の感度低下を認めた.神経サルコイドーシスに伴う尿崩症と考えられ,視野異常を伴うことから副腎皮質ステロイドの全身投与が選択された.治療後,視野異常は改善した.内分泌科と眼科とが早期に連絡を取り合い,各科の症状・所見を合わせて治療方針を決定することが重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2018 日本神経眼科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top