神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
Print ISSN : 0289-7024
ISSN-L : 0289-7024
症例報告
正中線偏位を伴う脳内出血後に片眼性圧迫性視神経症と同名半盲をきたした2例
後藤 克聡三木 淳司山下 力荒木 俊介水川 憲一家木 良彰桐生 純一宇野 昌明
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 39 巻 2 号 p. 142-150

詳細
抄録

 脳内出血後に片眼性の圧迫性視神経症と同名半盲をきたした2例を報告する.症例1:43歳の男性.失語と右片麻痺,左共同偏視がみられ,CTで正中線偏位を伴う左被殻出血に対して開頭血腫除去手術が施行された.発症4か月後,右眼視力は1.0,左眼視力は0.6,相対的瞳孔求心路障害(RAPD)は左眼陽性,右同名四半盲,左眼の視神経萎縮がみられた.OCTによる神経節細胞複合体(GCC)厚は右眼89.9μm,左眼73.1μmで中心窩周囲の菲薄化がみられた.その後,両眼のGCC厚は同名半盲に一致する領域で緩徐進行性に減少した.症例2:72歳の女性.頭痛と左片麻痺,意識障害と構音障害がみられ,MRIで正中線偏位を伴う右側頭葉皮質下出血に対して内視鏡下血腫除去術が施行された.発症3か月後,右眼視力は0.2,左眼視力は0.5,RAPDは右眼陽性,左同名半盲,右眼の視神経萎縮がみられた.GCC厚は右眼71.3μmで中心窩周囲の菲薄化,左眼94.3μmであった.正中線偏位を伴う脳内出血では,血腫による直接的な,または脳浮腫による頭蓋内視神経の圧迫が生じ,単性視神経萎縮をきたす可能性が考えられる.

著者関連情報
© 2022 日本神経眼科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top