神経眼科
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症例報告
診断に苦慮した片眼の眼球突出を伴ったanterior condylar confluence近傍の硬膜動静脈瘻の1例
髙木 堅太郎後関 利明河野 雄亮龍井 苑子石川 均庄司 信行山本 大輔
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2022 年 39 巻 2 号 p. 151-156

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抄録

【症例】52歳女性.生来健康.右眼の突然の眼痛,眼球突出を自覚し近医を受診.頭部造影CT,CT angiography(CTA)で頭蓋内血管病変は指摘されず,外眼筋の肥厚を認め,抗サイログロブリン抗体の上昇が認められたことから甲状腺眼症が疑われた.眼球突出計で右22 mm,左15 mmと右眼球突出を認め,視力低下,眼圧も高値であったことから,ステロイドパルス療法,眼窩減圧術を施行されるも軽快せず当院を紹介受診となった.受診時,視力 右20 cm指数弁,左0.04(1.2×S-5.50D=C-3.00D Ax 5°),眼圧 右/左=27/17 mmHg,高度な眼球突出,上方の結膜・上強膜血管怒張を認めた.内頚動脈・海綿静脈洞瘻を疑い,頭部MRI,MRAで上眼静脈の拡張およびanterior condylar confluence(ACC)近傍に微小血管集簇を認めた.その後,眼痛,頭痛の悪化を認めたため脳神経外科にて血管造影検査を施行し,ACC近傍の硬膜動静脈瘻(dAVF)の診断に至った.経静脈的塞栓術を行い眼球突出,眼球運動障害は改善するも重篤な視機能障害を残した.

【結論】dAVFの中でACC近傍のdAVFの発症率は3.6~4.2%と稀であるが,突然発症の片眼性眼球突出に遭遇した際はACC近傍のdAVFを鑑別に挙げ精査を進める必要がある.

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© 2022 日本神経眼科学会
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