心臓
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症例
ファロー四徴症根治術後遠隔期に完全房室ブロックを合併し心室頻拍が誘発された1症例
間渕 美紗若林 公平前澤 秀之本田 雄気若月 大輔江波戸 美緒東 祐圭鈴木 洋嶽山 陽一
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2009 年 41 巻 12 号 p. 1340-1345

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抄録

ファロー四徴症の根治術後遠隔期では不整脈が問題となることがある.今回,根治術40年後に完全房室ブロックを合併し,心室頻拍が誘発された症例を経験した.症例は49歳,男性.小児期にファロー四徴症に対する手術を施行し,その後は17歳まで問題なく経過していた.経過中,労作時息切れやチアノーゼなどの症状は認めなかった.44歳から徐々に労作時息切れが出現し,2008年10月,近医受診時に心電図で完全房室ブロックを指摘され当科を紹介受診した.ファロー四徴症術後,完全房室ブロック精査加療目的で入院した.入院後の電気生理学的検査でヒス束以下のブロックを認めた.さらに心室刺激では,左脚ブロック型上方および下方軸の2種類の持続性心室頻拍が誘発された.植込み型除細動器,DDDペースメーカー植え込み術を施行し,その後心不全症状は改善した.先天性心疾患では術後経過が良好であっても,遠隔期に重篤な不整脈が出現する可能性を常に念頭に置くべきである.また術式や肺動脈・右室の圧較差,肺動脈弁閉鎖不全の有無などから遠隔期に生じる合併症を予測し,管理することも重要である.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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