心臓
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症例
イベントレコーダー(携帯型発作時心電図計)により不安定狭心症の診断にいたった1症例
鈴木 淳清水 一寛森 絵里香杉山 恵小川 剛史黒須 巧平野 圭一中村 啓二郎野池 博文東丸 貴信
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2009 年 41 巻 12 号 p. 1347-1351

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抄録

背景:不安定狭心症の原因は,冠攣縮,器質的高度狭窄病変あるいは冠動脈血栓症によるものが考えられ,単一の病態ではない.その診断に心電図が重要であることは安定狭心症と同様である.虚血性心疾患を診断するには,発作中の心電図変化を記録することが望ましいが,外来の診察時に記録を行うことは困難な場合が多い.われわれは長期間の使用が可能で,症状出現時の心電図を記録できるイベントレコーダーを使用し,不安定狭心症の診断にいたった1症例を経験したので報告する.
症例:57歳,女性.糖尿病,高血圧症,高脂血症を有し陳旧性心筋梗塞の既往あり.2007年2月に胸部違和感が出現,救急外来に来院された.来院時に胸部違和感は消失し,心筋逸脱酵素の上昇は認められず,心電図や心臓超音波においても変化を認めなかった.精査のため,ループメモリー型イベントレコーダー(CG-6106) を施行した.装着して6日目に胸痛が出現し,ニトログリセリンを舌下するも症状が持続するため,救急外来を受診された.イベントレコーダーを解析したところ,安静時心電図と比較し,水平型のST低下を認めた.この発作の6カ月前にホルター心電図を施行していたが,自覚症状は出現せず,有意所見を認めていなかった.入院後,冠動脈造影検査を施行し,右冠動脈AHA分類#2に新たに90%の狭窄を認めた.
結語:発作時心電図記録が可能なイベントレコーダーは,狭心症の鑑別や診断に有用であることが証明された.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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