心臓
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症例
Cypher stentがcrushしたために新たに狭窄を生じた1例
佐藤 匡也宗久 雅人門脇 謙阿部 芳久寺田 健熊谷 肇
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2009 年 41 巻 12 号 p. 1352-1357

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抄録

症例は70歳代,男性.1999年10月に急性冠症候群にて右冠動脈(right coronary artery; RCA)近位部にMulti-Link(ML)stentの留置歴がある.2006年夏ごろから狭心症が再燃したため,同年11月に冠動脈造影(coronary angiography; CAG)を施行したところML stentの再狭窄はなかったが,新たにRCA中間部に病変が確認され,同病変に対しCypher stentを留置した.Cypher stentはML stentとオーバーラップするように留置した.その半年後から再び狭心症が出現し,2007年5月に再度CAGを施行した結果,2006年11月の標的病変の拡張は良好であったが,その部位とは異なるCypher stent内に99%狭窄を認めた.狭窄部位はML stentとCypher stentがオーバーラップした場所より遠位部のCypher stent内であり,血管内超音波検査(intravascular ultrasound; IVUS)による観察でCypher stentがつぶれcrushして冠動脈内腔が極度に狭小化している像が観察された.バルーンの通過に多少難渋したが前拡張後にTaxus Express stentを追加留置して拡張に成功した.その後の経過では特に症状の出現がみられず,1年後のCAGでは再狭窄なく良好な拡張が得られていた.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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