2009 年 41 巻 4 号 p. 472-475
慢性心不全は急性増悪による入退院をくり返しながら段階的に悪化するため, QOLの低下や医療費の負担が問題となる. 当院では, 入院回避および医療費削減の観点から, 慢性心不全患者に対する外来点滴療法を行っている. 外来点滴では患者個別の状態にあわせた薬剤選択が重要であり, 当院では心保護作用を持つヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP: カルペリチド), 強心作用を持つPDE III阻害薬, またはカテコラミンを投与している. 外来点滴によって1カ月あたりの入院日数が有意に低下し, 入院回数, 保険点数が減少傾向を示した. 以上から, カルペリチドによる外来点滴療法は心不全患者の入院回避に有効な手段の一つと考えられる.