抄録
症例は81歳, 男性. 主訴は植込み型除細動器 (ICD) 頻回作動. 慢性心房細動, 高血圧, 中等度僧帽弁, 三尖弁逆流症で当科通院していた. 2007年5月前失神を認め, 24時間ホルター心電図で, 徐脈性心房細動と持続性心室頻拍 (VT), またVT停止時8.3秒の心室停止を認めた. 冠動脈病変はなく, 電気生理学検査でVTは誘発されず, 左室駆出率は60%と保たれていたが, 徐脈に対する心室ペーシングとVTに対する治療としてICD植え込み術を施行した. 心室リードは中部中隔に留置し, 植え込み時の除細動閾値 (DFT) は20Jであった. しかし退院9日後, ICD頻回作動により入院. 入院直後, VTから心室細動 (VF) となったが, ICD35JではVFは停止せず, 体外式除細動器200J施行によりVFは停止した. アミオダロン点滴によりelectrical stormは離脱. VTはアブレーションにより消失したが, VFのDFTは上昇していた. アミオダロン投与中止後でもDFTは低下せず, その後心室リード位置変更により, DFTは低下した.