心臓
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第21回 心臓性急死研究会
重症心筋炎による低心機能改善後, 遠隔期に突然死をきたした1例
白井 康大中村 知史鈴木 麻美大坂 友美子大西 健太郎栗原 顕小野 裕一澤田 三紀清水 茂雄大友 建一郎坂本 保己磯部 光章内藤 滋人
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2009 年 41 巻 SUPPL.3 号 p. S3_61-S3_64

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抄録

 症例は32歳, 男性. 感冒様症状後の下腿浮腫を主訴に前医を受診し, 胸部X線上心拡大と肺うっ血を認め心エコーにてEF 18%と著明な低心機能を認めた. 冠動脈に有意狭窄は認めず, 生検の結果心筋炎の診断にてアンジオテンシンII受容体遮断薬 (ARB), β遮断薬, 利尿薬を投与され, 心不全は改善し退院後当院を紹介受診した. 初診時EFは25%, ホルター心電図にて非持続性心室類拍 (NSVT) を認めたが, β遮断薬増量にて1年後の心エコーではEF 71%まで改善を認めた. ホルター心電図にて不整脈は認めず, 加算平均心電図, T波オルタナンス検査はともに正常であった. ARB, β遮断薬のみ継続し外来フォローしていた. 心筋炎発症から2年後, 出張先の米国にて妻と電話中突然倒れ心肺停止となり救急隊の蘇生にても心拍再開せず永眠された. 急性心筋炎に伴う低心機能, 不整脈に関して著明な改善を認めるも, 遠隔期に心臓性と考えられる突然死をきたした1例を経験したので報告する.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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