心臓
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第21回 心臓性急死研究会
非Brugada型特発性心室細動12例の検討
平松 茂樹森田 宏中川 晃志田中 正道村上 正人多田 毅西井 伸洋永瀬 聡幡 芳樹中村 一文草野 研吾
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2009 年 41 巻 SUPPL.3 号 p. S3_54-S3_60

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抄録

 特発性心室細動 (IVF) には, Brugada症候群の心電図特徴を示さない例がある. 原因や病態は複数と思われ, 潜在性の心筋炎の可能性も考えられている. 今回, 当院で経験されたBrugada症候群が否定的なIVF12例について, その特徴を検討した.  年齢は38±12歳, 男性が8名 (67%). 右室流出路起源の心室性期外収縮 (PVC) から心室細動 (VF) を起こした者が3名. 連結期の短いPVCを認める者が3名. いずれも認めない者が6名であった. 12誘導心電図で有意な所見は認めず, 遅延電位は陰性. 冠動脈に有意狭窄はなく, 左室造影も正常. 心臓電気生理学的検査 (EPS) において, 2例のみ右室の一部に軽度の異常電位を認めたが, その他の症例では認めていない. プログラム刺激による心室頻拍/心室細動 (VT/VF) の誘発では, 全例で持続するVT/VFは誘発されなかった.  上記のことからIVFには器質的な異常は認めず, 機能的な異常が原因となっている可能性が高いと考えられる.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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