心臓
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一般演題
心臓MRI法を用いた心筋壊死形態と体表面微小心電図およびQT dispersionの関係(第2報)
高瀬 凡平永田 雅良木原 照厳木村 一生田中 良弘松井 岳巳石原 雅之栗田 明
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2010 年 42 巻 SUPPL.1 号 p. S1_20-S1_23

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抄録

心筋壊死の臨床診断として心臓MRI法による遅延造影画像(delayed enhancement: DE)が有用とされている. 心臓MRI法によるDEと心筋梗塞後の死亡予後との間に関連性が報告されているものの, 致死性不整脈発生の非侵襲予測因子とされている体表面微小心電図(LP)やQT dispersion(QTD)とDEとの関係に関する詳細は不明である. これらの関係を明らかにすることを目的として, 陳旧性心筋梗塞症例69例(69±9歳)に心臓MRI法とLPとQTDをほぼ同時に測定した. 心臓MRI法は1.5T GE社製Sigma CV/iにてgadlinium(0.2mol/kg)投与造影下に左心室短軸6断面を撮像した. 心筋の壊死形態をmassive(1点)からpatchy(3点)までの程度により視覚的に1~3点でscore化し(patchy sore: PS), LP陽性およびQTDの結果と比較した. その結果, LP陽性例15例とLP陰性例54例が認められた. 心筋壊死範囲を反映するDE断面数はLP陽性率と有意の関係を認めなかった. しかし, 壊死の形態を反映するPSはLP陽性例においてLP陰性例に比べ有意に高値を示した(2.4±0.2 vs. 1.5±0.1, P <0.05). また, QTDはDE断面数と有意の相関関係を示した.
結語: 心臓MRI法で求めたDEの形態やその範囲は, 陳旧性心筋梗塞症例の致死性不整脈の予測因子として有用となる可能性が示唆される.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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