心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
シンポジウム
Brugada症候群のリスク層別化における加算平均心電図の有用性
手島 保水澤 有香田辺 康宏深水 誠二辰本 明子弓場 隆生小宮山 浩大仲井 盛小田切 史徳北條 林太郎高野 誠櫻田 春水平岡 昌和
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 42 巻 SUPPL.1 号 p. S1_30-S1_33

詳細
抄録

Brugada症候群の症例の心事故発生のリスクを層別化するために, 当科でcoved型ST上昇が確認された115例を検討した. 対象は男性108例, 女性7例で有症候性例は20例であった. 全例で加算平均心電図, 73例でpilsicainide負荷テスト, 87例に電気生理学的検査を施行した. 加算平均心電図のRMS40値は有症候性例で有意に低値(7.11, p < 0.01)でRMS40値が5µV未満の症例には有症候性例が有意に多かった(p < 0.01). RMS40値が10µV未満をLP強陽性とすると, 有症候性例には自然経過のcoved型ST上昇の出現(p=0.0013), LP強陽性例が有意に多く(p < 0.0001), 突然死の家族歴を有する傾向(p=0.065)が見られた. しかし電気生理学的検査におけるVFの誘発性には症候性例と無症候性との間に有意差は認められなかった. Pilsicainideを負荷するとRMS40の値は有意に低下したが, 症候性例と無症候性例を判別するには有用ではなかった.
Brugada症候群のリスクの層別化には加算平均心電図は有用であり, LP強陽性例で特にRMS40値が5µV未満の症例はhigh riskである.

著者関連情報
© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top