2010 年 42 巻 SUPPL.1 号 p. S1_34-S1_39
背景: Brugada症候群のリスク評価において, 薬物負荷試験や電気生理学的検査による誘発試験が行われているが, その有用性については賛否両論であり, 一定の見解が得られていない.
リスク指標: われわれの施設では, 非侵襲的に測定できる心電学的指標をBrugada患者のリスク層別化において主に用いている. そのなかでも, 自律神経活動と関連性の高い指標を積極的に活用している. V1~V2誘導における心電図波形(ST部分とT波)の自然変動が, 失神の既往と同じくらいリスク評価において有用であることを前向き研究で示している. この方法であれば, 心電図を数回記録すれば判定できるため, 実地医家においても利便性は高い. また, 心電図の自然変動が迷走神経活動の影響を受けていることに注目し, “満腹テスト”と呼ばれる簡便な検査法をリスクの層別化に役立たせている.
総括: Brugada症候群のリスク評価において, 自律神経活動に関連する非侵襲的な心電学的指標は有用と考えられる.