心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第22回 心臓性急死研究会
院外心停止後, 軽度低体温療法が施行されたQT延長症候群の3例
西山 信大佐藤 俊明高月 誠司神吉 秀明村岡 直人中川 聡三好 俊一郎相澤 義泰福本 耕太郎副島 京子小川 聡
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_106-S2_112

詳細
抄録
軽度低体温療法は心停止蘇生後の神経学的予後ならびに生命予後を改善し得ることが知られている. 一方で, 低体温中はQT間隔が延長するため, 蘇生後のQT延長症候群(LQTs)に対する軽度低体温療法は, QT間隔をさらに延長し催不整脈作用を呈する可能性がある.
今回われわれは, 院外心停止からの蘇生後, 意識障害が遷延し軽度低体温療法が施行されたLQTsの3例を経験したので報告する. 2例は遺伝性, 1例は薬剤誘発性であった. 全例ともに, 体温の低下とともにQT間隔はさらに延長し, 低体温療法中に最長のQT間隔が記録された. 一方, 復温終了後もQT延長は遷延した. 1例では復温中にtorsade de pointesの再発を認めたが, 3例ともに神経学的後遺症なく回復し, 軽快退院した.
LQTsの院外心停止例に対する軽度低体温療法により, QT間隔を延長し心室頻拍が再発する可能性はあるが, 同療法による神経学的予後の改善は期待し得ることが示唆された.
著者関連情報
© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top