抄録
[症例] 44歳, 男性.
[主訴] 発熱.
[現病歴] 1週間前より38°C台の発熱, 胸部圧迫感が持続. CRP 4.45mg/dL, CPK 519 IU/Lと上昇, 心電図上I, II, III, aVF, V2~6でのST上昇を認め, 急性心筋炎の疑いで入院となった. 第2病日の冠動脈造影で有意狭窄なく, 左室駆出率50%, 心筋生検を施行した. 第4病日に心室頻拍のelectrical stormの状態となり, 心肺蘇生(CPR)施行, 経皮的心肺補助装置(PCPS), 大動脈内バルーンパンピング(IABP)挿入となった. 左室駆出率(EF)14%と低下. 第4病日より大量免疫グロブリン療法を開始した. 末梢血では好酸球増加はなかったが, 病理組織上高度の好酸球浸潤を認めていたため, 第5病日よりステロイドパルス療法も開始した. 第8病日には血行動態は安定し, 炎症反応, 心筋マーカーも徐々に低下し, その後, PCPS, IABP離脱となった.
[結語] 劇症型心筋炎による心原性ショックに, ステロイドパルス療法が著効した, 好酸球性壊死性心筋炎が疑われた症例を経験したので報告する.