2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_180-S2_184
症例1: 49歳, 男性, 自衛隊員. 訓練で10km完走直後倒れこんだ. CPRは施行されず6分後に医師によりAED作動させると心室細動(VF)から無脈性電気活動(PEA)となった. その後, 救急隊到着し当院に搬送された. 来院時心リズムは心静止(asys)であった. ACLS施行し心拍再開後の心電図で急性前壁梗塞と診断しカテーテル室へ直行. 心肺補助装置(PCPS), 大動脈内バルーンポンプ(IABP)補助下に冠動脈造影(CAG)を施行し左前下行枝(LAD)#7に75%狭窄を認め, カッティングバルーンで拡張し手技終了. 治療継続したが心機能回復せず死亡した.
症例2: 26歳, 男性. 激しい胸痛で当院へ緊急搬送された. 急性前壁梗塞と診断し緊急CAG施行. LAD#6に99%狭窄(TIMI2)を認めた. IABP準備中VF発生し, 速やかにCPR開始. 数回の除細動にても洞調律からVF再発した. VF持続のまま10分後IABP, 30分後PCPS挿入. PCI用の動脈ルートがとれず90分後にLAD閉塞部をバルーン拡張後, 血流再開した. 除細動にて心拍再開し, その1分後に開眼し問いかけに返答した. LADにステント留置後し手技終了. 高次脳機能は正常で18日後に退院した.