心臓
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第22回 心臓性急死研究会
I群抗不整脈薬の血中濃度上昇により, Brugada型心電図を呈し心肺停止にいたった1症例
山田 真実菊池 幹吉村 仁折口 秀樹林谷 俊児毛利 正博山本 英雄坂本 一郎山本 雲平宮田 健二野間 充多治見 司菊池 裕
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_39-S2_43

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抄録
症例は53歳, 男性. 発作性心房細動のため, コハク酸シベンゾリン(300mg/日)を内服していた. 某日, 心房細動発作を自覚したため塩酸ピルジカイニド(150mg)を内服し, 飲酒した後に就眠した. 50分後に家人が来室したところ, 意識レベルはJCS300であり, 脈拍・呼吸ともに確認できなかったため直ちに心肺蘇生を開始し, 救急車を要請した. 来院時はJCS1桁で, 自発呼吸あり, 収縮期血圧60mmHg台であり, 12誘導心電図では心拍数46/分, 接合部調律, type3のBrugada型心電図であった. 冠動脈造影では特記所見を認めず, ドパミン・ノルアドレナリン投与でも低血圧が持続したため大動脈内バルーンパンピングを施行した. その後血圧上昇し, 翌日には意識清明となり心電図も正常化した. 入院4日目に施行した電気生理学的検査で洞機能・房室伝導能は正常であり, 心室頻拍・心室細動は誘発されなかった. 塩酸ピルジカイニド負荷試験ではsaddle back型のST変化を認めた. もともと正常範囲内であった血清クレアチニン値が来院時2.47mg/dLと上昇しており, コハク酸シベンゾリン・塩酸ピルジカイニドの血中濃度が高値であったことが判明した.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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