心臓
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第22回 心臓性急死研究会
ICDの遠隔モニタリングを介した病診連携により心室細動の再発を予防し得たBrugada症候群の1次予防例
阿部 芳久寺田 健宗久 雅人熊谷 肇佐藤 匡也門脇 謙
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_49-S2_53

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抄録

植込み型デバイス管理の有力な手段として遠隔モニタリングが本邦にも導入された. 本システムを用いた病診連携により, 心室細動に対する繰り返すショック作動を回避し得たBrugada症候群の1例を報告する.
症例は62歳, 男性. 約3年前, 検診でBrugada型心電図を指摘され, かかりつけ医を介して受診した. 失神歴や家族歴はなし. 心電図はcoved型で, 右室流出路での期外刺激(600-240-210-220ms)にて心室細動が誘発されたため1次予防としてICD治療を行った. 2008年4月から, 遠隔モニタリングのケアリンクを用いてICD管理を行った(当センターから住居まで車で1時間15分). 2008年12月27日夜間にショックを自覚したため遠隔送信を行い, 当センターを受診することなく, 心室細動に対するICDの適切作動が確認された. 同日の夕方, 再びショックを自覚し2回目の送信を行った. ICDは適切に作動しており, 電話での問診で激しい下痢が続いているとの情報を得た. かかりつけ医への受診を促すとともに, 同医にも電話で状況を説明して診察を依頼した. 受診時の血清Kは3.8mEq/Lで, 下痢の治療とK補正により4.4mEq/Lとなり, それ以後ICDは作動していない.
遠隔モニタリングシステムは植込み型デバイスの管理に有効な手段であり, 今後の病診・病病連携の在り方にも影響を及ぼすと考えられる.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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