心臓
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第22回 心臓性急死研究会
食道癌術後2週間で発症しAEDにて救命された心室細動の1例
小松 かおる関田 学林 英守佐々木 玲聡戸叶 隆司住吉 正孝中里 祐二代田 浩之
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_54-S2_58

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抄録
60歳, 男性. 食道癌のため食道および上部胃切除, 胸骨後胸部食道挙上胃再建術が施行された. 術後14日目, 面会者との会話中に突然意識消失し, 心室細動(VF)が確認されたため, 直ちに自動体外式除細動器(AED)にて除細動を行った. 術前後の心電図でBrugada型心電図変化などの異常を認めず, late potentialは陰性, 冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず, 心臓電気生理学的検査(EPS)でも心室性不整脈は誘発されなかった. 食道癌術後の胸骨後胸部食道挙上胃再建術では術後にBrugada型心電図変化をきたす症例があることが知られている. 同様の変化は前縦隔腫瘍でも報告があり, 右室流出路への機械的な圧迫や炎症などがその原因として推測されている. 本例はBrugada型心電図変化を認めなかったが, 胸骨後胸部食道挙上胃再建術の2週間後にVFをきたしており, その関連を考えるうえで示唆に富む症例と考えた.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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