心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
発作性心房細動に対する肺静脈隔離術後, 右上肺静脈-左房間を興奮旋回する心房頻拍が生じた1例
佐藤 嘉洋小松 隆橘 英明椚田 房紀小澤 真人中村 元行関口 幸夫青沼 和隆
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_5-S4_11

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抄録

症例は62歳, 男性. 主訴は動悸発作. 45歳のころから動悸発作が出現し, 2004年12月に発作性心房細動に対して肺静脈隔離術, ならびにantrum potentialに対する高周波焼灼を施行した. 2008年3月に眼前暗黒感を伴う動悸発作が再発した. 近医受診時の12誘導心電図では心拍数130/分, 2: 1房室伝導の心房頻拍を認めた. 直流通電50Jによる電気的除細動が施行された. 当科入院時の心電図では頻拍周期約240msec, 3: 1房室伝導の心房頻拍を認め, CARTO-mapでは右上肺静脈と左房間を2つのGapを介して興奮旋回する心房頻拍が示唆された. 頻拍中の右上肺静脈-左房接合部後上壁でentrainment pacingを行ったところ, 同部のpost pacing intervalは頻拍周期と一致した. 同部に出力25Wで高周波通電を施行したところ, 約10秒後に頻拍は停止し, 以後, イソプロテレノール負荷でも頻拍は誘発されなくなった. 肺静脈隔離術後の再伝導による右上肺静脈-左房接合部を興奮回旋する心房頻拍の1例を経験したので報告する.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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