心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
房室回帰性頻拍中に房室結節回帰性頻拍へ一過性に移行した1症例
奥村 恭男渡邊 一郎小船 雅義芦野 園子永嶋 孝一大久保 公恵中井 俊子小船 達也平山 篤志
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_76-S4_85

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抄録
症例は65歳, 男性. 動悸を主訴に当院紹介来院. 心電図上, 心拍数150/分の上室性頻拍(SVT)を認めた.
電気生理学的検査所見: カテーテル操作により容易にSVTは誘発された. SVT中の逆行性心房最早期興奮部位は冠静脈電位CS7-8に存在し, 心室刺激中も逆行性心房最早期部位は同様の部位にあり, 減衰伝導を認めなかった. 以上より, 同頻拍は, 左側後壁の副伝導路を介する房室回帰性頻拍(AVRT)と診断した. 一方, 心房期外刺激にてjump up後, 同様のAVRTが再現性をもって誘発された. その際, 一過性にCS6-7の逆行性心房最早期部位が, His束部位に移行し, 再度CS6-7へ戻る現象を認めた. 以上の所見は, 逆行性心房伝導が一過性に副伝導路からfast pathwayに移行していると考えられ, 房室結節回帰性頻拍(AVNRT)を合併している可能性が示唆された. 実際, 経心房中隔的に左側後壁の副伝導路の離断後, 心房早期刺激により再現性をもってAVNRTが誘発された. Slow pathwayの燒灼後, 両者の頻拍は誘発不能となった.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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