心臓
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臨床研究
急性心筋梗塞回復期心臓リハビリテーション参加率の14年間の経年変化
高齢患者・女性患者の参加率と不参加理由
吉田 朱美川上 利香伊吹 宗晃中西 道郎大原 貴裕相原 直彦野口 輝夫大塚 頼隆野々木 宏後藤 葉一
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2011 年 43 巻 5 号 p. 620-627

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抄録
背景: 高齢患者や女性患者は急性心筋梗塞症(acute myocardial infarction; AMI)後, 心臓リハビリテーション(心リハ)への参加率が低いことが指摘されているが, わが国における近年の経年的変化は不明である.
目的: AMI患者の回復期心リハへの参加率を年次別・年齢別・性別に検討し, 高齢患者や女性患者の参加率の経年的変遷と不参加理由を明らかにする.
対象と方法: 1993から2006年に当センターCCUに入院し生存退院したAMI患者2,481人を対象として, 回復期心リハプログラムへの参加率の経年的変遷および不参加理由を調査した. 対象患者を年齢・性別により, 若年男性(75歳未満: 1,504人), 高齢男性(75歳以上: 376人), 若年女性(75歳未満: 355人), 高齢女性(75歳以上: 246人)の4群に分類し, 解析を行った.
結果: 1993から2006年にかけて, AMI患者の平均年齢は66歳から68歳へと上昇したにもかかわらず, 回復期心リハ参加率は全体(42%→72%, p<0.05)およびすべての群で増加した. しかし, 高齢者および女性の参加率は, それぞれ若年者および男性に比べて低く, 特に, 高齢女性群では, 2006年においても依然として38%と低値であった. 不参加理由については, 高齢者では若年者に比べ, 歩行障害などの非心疾患合併の割合が多く, また, 経年的に非心疾患合併の割合が増加していた(61%→94%, p<0.05).
結論: 高齢患者および女性患者のAMI後, 回復期心リハ参加率は経年的に上昇しているが, 依然として若年者および男性に比べて低値である. 不参加理由として高齢患者では非心疾患合併が多く, 今後の課題である.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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