心臓
Online ISSN : 2186-3016
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ISSN-L : 0586-4488
43 巻, 5 号
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Open HEART for 東北 !
HEART’s Selection (心血管系の発生・老化と心疾患)
HEART’s Original
臨床研究
  • 高齢患者・女性患者の参加率と不参加理由
    吉田 朱美, 川上 利香, 伊吹 宗晃, 中西 道郎, 大原 貴裕, 相原 直彦, 野口 輝夫, 大塚 頼隆, 野々木 宏, 後藤 葉一
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 620-627
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    背景: 高齢患者や女性患者は急性心筋梗塞症(acute myocardial infarction; AMI)後, 心臓リハビリテーション(心リハ)への参加率が低いことが指摘されているが, わが国における近年の経年的変化は不明である.
    目的: AMI患者の回復期心リハへの参加率を年次別・年齢別・性別に検討し, 高齢患者や女性患者の参加率の経年的変遷と不参加理由を明らかにする.
    対象と方法: 1993から2006年に当センターCCUに入院し生存退院したAMI患者2,481人を対象として, 回復期心リハプログラムへの参加率の経年的変遷および不参加理由を調査した. 対象患者を年齢・性別により, 若年男性(75歳未満: 1,504人), 高齢男性(75歳以上: 376人), 若年女性(75歳未満: 355人), 高齢女性(75歳以上: 246人)の4群に分類し, 解析を行った.
    結果: 1993から2006年にかけて, AMI患者の平均年齢は66歳から68歳へと上昇したにもかかわらず, 回復期心リハ参加率は全体(42%→72%, p<0.05)およびすべての群で増加した. しかし, 高齢者および女性の参加率は, それぞれ若年者および男性に比べて低く, 特に, 高齢女性群では, 2006年においても依然として38%と低値であった. 不参加理由については, 高齢者では若年者に比べ, 歩行障害などの非心疾患合併の割合が多く, また, 経年的に非心疾患合併の割合が増加していた(61%→94%, p<0.05).
    結論: 高齢患者および女性患者のAMI後, 回復期心リハ参加率は経年的に上昇しているが, 依然として若年者および男性に比べて低値である. 不参加理由として高齢患者では非心疾患合併が多く, 今後の課題である.
Editorial Comment
症例
  • 川島 理, 阿部 秀樹, 青野 豪, 多田 憲生
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 630-634
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は, 84歳, 女性. 1996年5月に急性心筋梗塞を発症し, 右冠動脈#2に経皮的古典的バルーン血管形成術(percutaneous old balloon angioplasty; POBA) を施行した. さらに, 1996年7月, #2に再狭窄を認め, 再POBA施行, このとき, 左回旋枝#13にもPOBAを施行している. 2001年2月に左前下行枝#7に経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を行いbare metal stent(BMS) を留置している. 3カ月後の5月, ステント遠位部の再狭窄を認め, BMSを追加留置している. 2002年の2月, ステント留置後8カ月後の確認造影でステントの再狭窄を認めず, 以後, 胸痛などの症状もなかった. 2010年2月, 胸痛を自覚し当院に救急入院. 緊急冠動脈造影を行ったところ, 左前下行枝#7ステント内で血栓性閉塞をきたしており, そのままPCIに移行した. ワイヤー通過後血栓を吸引し, バルーン拡張のみで終了した(翌日のpeakCPKは1,370 IU/L). その後の経過は良好で, 第13病日に再PCIを施行した. 術前の血管内超音波でステント内に低輝度の内膜像を認めた. Virtual histologyにて内膜は線維分と脂質が豊富なプラークであることが示唆された. バルーンで高圧拡張後, 薬剤溶出ステントを留置し, さらに, 耐圧バルーンで後拡張し終了した. その後の経過は良好で, 第18病日に独歩退院となった.
症例
  • 佐々木 伸二, 林 輝美, 小林 さゆき, 善利 博子, 薬袋 路子, 江口 美知子, 酒井 良彦, 飯島 忍, 小沼 善明, 柴崎 光 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 635-641
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は, 62歳, 男性. 健診で心電図異常を指摘され, 精査目的に当院循環器内科を受診した. 心電図上, I, aVL, II, III, aVF, V3~6に陰性T波を認めた. 2Dエコー図では心室中隔厚30mm, 左室後壁厚10mmと著明な非対称性中隔肥大(asymmetric septal hypertrophy; ASH)および心尖部レベル短軸像にて心室中隔厚30mm, 左室後壁厚28mmの全周性左室肥大を認めた. Mモードエコー図にて, 僧帽弁は2峰性の収縮期前方運動〔double(systolic anterior motion; SAM)〕を呈し, 連続波ドプラ法による左室駆出血流速波形も同様の2峰性のピークを有し, 各時相もほぼ一致した. 閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy; HOCM)の特徴的所見の1つにSAMがあげられるが, その多くは1峰性のSAMである. 本例はdouble SAMを有し, 2峰性左室駆出血流速波形とともに記録し得た貴重な症例と考え, 報告する.
症例
  • 佐藤 幸人, 小坂 万理, 弓場 広美, 藤長 敬子, 神村 政行, 藤原 久義, 鷹津 良樹
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 642-648
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    近年, 高齢化が社会問題となっているが, 心不全の領域でも急速に高齢化, 少子化が進むに従い, 入退院を繰り返すだけでなく, 独居, 認知症, 介護の問題などに直面する患者が急増している. 入院回避の方法として当院では, 1年間に複数回入院した患者を対象に, 定期的に行う外来点滴を報告してきた. 今回, 単発の心不全悪化であるが, 精神疾患, 老老介護, 独居などの事情により入院が困難であった3症例を経験した. 収縮期血圧と腎機能が保たれた心不全悪化患者において, 外来での3日間連続の硝酸イソソルビド低用量投与は, 過度の降圧を生じることなく安全であり, BNP値のすみやかな低下を認め, 本来, 入院加療が必要であった患者の入院が回避可能であった. 今後, 心不全による入院回避のためのシステム構築は, 社会的問題としても取り組んでゆく必要があると思われる.
Editorial Comment
症例
  • 高木 千佳, 長井 和彦, 柿木 滋夫, 筒井 裕之
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 650-657
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    特発性肺動脈性肺高血圧症(idiopathic pulmonary arterial hypertension; IPAH)は, かつては予後不良な疾患であったが, エポプロステノール(epoprostenol)の導入に伴い長期生命予後, QOLともに改善されてきた. しかし, エポプロステノールは半永久的な中心静脈投与が必要であり, 在宅管理が難しい. シルデナフィル経口薬がIPAHに使用されるようになり, その有効性が報告されるようになってきた. 今回, シルデナフィルが著効したIPAH症例を経験したので報告する. 症例は, 62歳, 男性. 失神にて当科へ入院し, IPAHと診断. 当時の肺動脈圧は125/50mmHg, 体血圧は125/80mmHgであった. ボセンタン内服で自覚症状の悪化なく落ち着いていたが, 4年後, 心不全の増悪で入院. 人工呼吸管理下に加療を行ったが, カテコラミン離脱時の体血圧82/50mmHg, 三尖弁逆流の最大速度は6.0m/秒と推定収縮期肺動脈圧は, 体血圧を凌駕し増悪していた. エポプロステノール投与は本人が拒否しため, シルデナフィルを10mg/日から開始し60mg/日まで漸増した. 投与後, 体血圧は95/50mmHgと低下することなく三尖弁逆流の最大速度は, 5.1m/秒と著明改善を得られた. 近年, PAHに対してメカニズムの異なる治療薬による併用療法が行われてきているが, 本症例がシルデナフィルのみの効果であるのか, 併用療法としての効果であるのかは, 不明であり, 今後の症例の蓄積が期待される.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 川上 秀生, 大下 晃, 河野 珠美, 藤田 鉄平, 松岡 宏
    2011 年43 巻5 号 p. 661-667
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 男性. 主訴は労作時呼吸困難. 1982年より弁膜症の診断で近医に通院中であった. 2009年4月ころから労作時呼吸困難が出現し, 精査目的で来院, 胸部X線で心胸比の拡大と, 12誘導心電図でε波が存在すること, 心エコーで著明な右室拡大を認めることより, 不整脈原性右室心筋症(arrhythmogemic right ventricular cadiomyopathy; ARVC) が疑われたため, 精査加療目的で入院した. 肺血流シンチグラフィでは明らかな欠損像は認めなかった. 冠動脈造影では冠動脈に有意狭窄はなく, 左室造影では, 左室壁運動異常はなく, 左室駆出分画は76%であった. 右室造影では, 著明な右室拡大と壁運動低下を認めた. 心臓MRIでは, 右室の著明な拡大を認めた. Gd-DTPAによる遅延造影効果は心室中隔には認めたが, 右室自由壁では菲薄化しているため判定が困難であった. 心臓CTでは右室は著明に拡大し, 右室自由壁の菲薄化を認めた. 心室中隔と右室自由壁の一部に脂肪変性と思われる部位が存在した. 以上の結果よりARVCと診断した. ARVCの心筋組織性状診断に心臓CTが有用であると思われた.
Editorial Comment
症例
  • 嵯峨 亜希子, 今井 靖, 杉山 裕章, 小島 敏弥, 藤生 克仁, 海老原 文, 安喰 恒輔, 絹川 弘一郎, 山下 尋史, 平田 恭信, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 670-677
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    41歳, 男性. 生後, 修正大血管転位(congenitally corrected transposition of the great arteries; cc-TGA), 心室中隔欠損(ventricular septal defect; VSD)を指摘され, VSD閉鎖術を施行. その後, 三尖弁閉鎖不全が悪化し33歳時に三尖弁置換術を施行された. 2008年10月突然心肺停止となり, 蘇生に成功したが解剖学的右室の著明な収縮低下による心不全管理に難渋した. 高度心不全治療を目的に2009年2月当院へ転院となったが, 極度の悪液質, 開放創(胃瘻)やMRSA保菌もあり, 心移植や補助人工心臓は適応外とされた. 著明な心室内伝導障害とともに, 組織ドプラ法で収縮非同期を認めたため, 心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy; CRT)を導入した. 植え込みは冠静脈リードの留置も容易で内科的に施行可能であった. CRT治療後, 自覚症状およびBNP値が著明に改善し, カテコラミンからも離脱し得た. 成人期に達したcc-TGAでは体心室の適応破綻による心不全管理にしばしば難渋するが, 同病態に対し, CRTが極めて有効な治療となり得ることを示唆する貴重な症例と考えられたため, 報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 米田 浩平, 日浅 芳一, 當別當 洋平, 馬原 啓太郎, 細川 忍, 原 朋子, 石橋 直子, 尾崎 敬治, 後藤 哲也, 藤井 義幸, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 681-686
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は16歳, 男性. 発熱, 倦怠感と労作時呼吸困難を訴え近医を受診し, 白血球減少を指摘され, 当院血液科へ紹介された. 精査目的に入院したが, 呼吸困難の増悪を認めたため, 循環器科へ紹介された. 心エコーでは右心系の拡大と中等度の肺高血圧を認め, 造影CTを施行したところ両側肺動脈を中心に広範囲に血栓を認め, 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism; PTE)と診断した. 血小板数が54.5万と増加しており,(腫瘍性の)血小板増加もPTEの原因の1つである可能性が考えられた. ウロキナーゼ, ヘパリンを投与し治療を行ったが, 治療開始後にも呼吸困難は継続していた. 白血球減少については骨髄検査を行い, 20%以上の芽球を認めたため, 急性骨髄性白血病(AML with multilineage dysplasia)と診断した. 入院7日目よりIDA+Ara-Cによる寛解導入療法を開始したところ, 症状は軽快し, 心エコー上も右心負荷の改善を認めた. その後, 同種骨髄移植を行い当院血液科外来にてPTEの再発なく経過観察中であったが, 移植後の再発のため2010年3月死亡. 今回, PTEが初発症状の1つとして発症し, その治療として化学療法が奏功した若年者のAMLの1例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 中野 由加理, 高垣 健二, 川田 哲史, 草野 研吾, 伊藤 浩, 美馬 敦
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 688-693
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は, 70歳, 男性の慢性透析患者, 右前腕に透析用シャントを作成している. 1年ほど前から, たびたび, 意識消失がみられたが, 諸検査を行うも, 原因特定はできていなかった. 今回, 呼吸困難・胸部不快感にて当院受診し, 精査加療目的で入院. モニター心電図で早朝に12秒の洞停止が認められ, 洞機能不全症候群と診断, ペースメーカー植え込み術の適応と判断した. 左腋窩静脈から挿入したガイドワイヤーは通常の上大静脈方向に向かず, 冠静脈洞(coronary sinus; CS)から右房へ抜け, 左上大静脈遺残(persistent left superior vena cava; PLSVC)と診断された. 透析シャントとの関連から左側にペースメーカーを植え込む必要があり, 引き続いて左側からPLSVCを通してペースメーカー植え込みを行った. スタイレットを360ºのループとして, 心室リードを右室中隔へ, 心房リードを右心耳基部へ留置することができた. ペースメーカー植え込み後, 意識消失および呼吸困難は完全に消失した. PLSVCは, 胸部静脈奇形の中では最も多く, 全人口の約0.5%にみられるが, ほとんどの症例は無症候性で, 偶然, 発見されることが多い. しかし, その走行異常からカテーテル挿入やペースメーカーを植え込む際に問題となるため, PLSVC合併があることを常に念頭に入れる必要があり, また合併時にもスタイレットの形状を工夫することによりlead留置は可能であると考えられた.
症例
  • 笠原 秀範, 田中 康史, 柴田 敦, 久松 恵理子, 山中 あすか, 冨澤 宗樹, 米田 直人, 北川 泰生, 栗本 泰行, 高橋 英樹, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年43 巻5 号 p. 694-699
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は36歳, 男性. 2008年11月ごろより, 両膝関節, 右環指関節痛が出現した. 2009年2月に起床後の右足底部痛および左上肢挙上時の疼痛があり, 当院救急外来を受診したが症状の改善はなく, 後日, 近医を受診し痛風の疑いがあると指摘され当院整形外科を受診したが, 37.5ºCの発熱, 胸痛, 左肩部痛もあり, また, 心雑音を聴取するため循環器内科を受診した. 経胸壁心エコー図検査上, 僧帽弁に疣腫を認めるため, 感染性心内膜炎の診断で入院となった. 2005年ごろから覚醒剤を使用していたが2008年10月からは使用していない. まわし打ちや, 再使用針での静注歴もある. 入院日より, セフトリアキソン(Ceftriaxone; CTRX) 2g×1回/日とゲンタマイシン(Gentamicin; GM) 60mg×3回/日の点滴投与を開始した. 入院日に施行した頭部MRIで塞栓像を認めたため, 翌日に準緊急手術を施行した. 前尖切除, 後尖温存による置換術を施行した. 術後, 僧帽弁逆流はなく, 感染は治癒した. 現在は症状の再現はなく, 覚醒剤中毒からも脱し, 社会復帰している. 近年, 覚醒剤使用がわが国でも社会的問題となっており, 覚醒剤常用者の感染症の鑑別診断として重要と考え, 症例報告をする.
研究会(第27回 関東川崎病研究会)
特別講演
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一般演題(2)
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