心臓
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症例
下壁誘導にて早期再分極を認めた特発性心室細動の1症例
佐藤 友美上岡 正志泉田 次郎斎藤 恒儀斎藤 富善前原 和平鈴木 均竹石 恭知
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2011 年 43 巻 6 号 p. 760-765

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抄録
早期再分極は広く健常者でもみられる心電図変化で, 人口の1~5%に認められる. 近年, 特発性心室細動患者の中に下壁誘導で早期再分極を認める患者群の存在が報告され, 注目を集めている. われわれは, 特発性心室細動蘇生後の12誘導心電図において, 下壁誘導でST上昇を呈した症例を経験した. 胸部X線では心拡大, 肺うっ血は認めず, 心臓超音波検査でも器質的心疾患を示唆する異常所見はなかった. 入院後の深夜3時に記録した心電図においてST上昇が顕在化した. 冠動脈造影では, 有意狭窄はみられなかったが, アセチルコリン負荷でST上昇が顕在化し, 右室早期三連刺激にて, 心室細動が誘発された. 一方, イソプロテレノール負荷下ではST上昇は基線に戻り, 心室細動は誘発されなかった. 以上より, 本症例の心室細動の発症ならびに早期再分極の増悪に迷走神経の緊張が関与している可能性が示唆された.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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