心臓
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第23回 心臓性急死研究会
急性の経過をたどったたこつぼ型心筋症の1例
木内 俊介吉原 克則伊藤 博坪田 貴也藤井 悠一郎高村 和久山崎 純一
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_109-S2_114

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抄録
症例は75歳, 女性. 高血圧症, 耐糖能異常で通院中. また, III度房室ブロックのため, DDD pacemakerの植え込みを行っている. 2月上旬の20時ごろ前胸部絞扼感を自覚. ニトログリセリン舌下投与を行うも自覚症状が改善せず, 22時30分に救急車で来院した. 心電図上V3~V6でST上昇を認め, 経胸壁心臓超音波検査では前壁中隔中部から心尖部にかけて壁運動の低下を認めた. ACSを疑い施行した緊急心臓カテーテル検査では, 冠動脈には有意狭窄病変を認めなかった. しかし, 左室造影検査では心尖部の無収縮と対照的に心基部は過収縮を認め, たこつぼ型心筋症と診断した. 左室内には70mmHgの圧較差を認めた. 第2病日に循環動態が悪化し, IABPおよびPCPSを導入した. しかし, 全身状態は改善することはなく, 同日永眠された. たこつぼ型心筋症は予後良好な疾患と考えられているが, 致死的な経過をたどる症例も少なくない. 著明な左室内圧較差を認める症例では, 特に厳重な管理が必要と考えられる.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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