心臓
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第23回 心臓性急死研究会
飲酒が心室細動の誘発に関与したと考えられたBrugada症候群の1症例
大久保 公恵渡辺 一郎奥村 恭男小船 雅義永嶋 孝一真野 博明小船 達也中井 俊子国本 聡笠巻 祐二平山 篤志
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_18-S2_22

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抄録

症例は25歳, 男性. 2010年1月9日飲酒中, 突然5分程度の意識消失を認めた. 同席者が心肺停止を確認している. 近医に搬送され, 診察中に動悸を訴え, 心電図モニターをつけたところ, 心室性期外収縮の散発から心室細動(VF)となり, 電気的除細動200Jで自己心拍再開し, 当院に搬送された. 既往歴に特記すべきことなし. 家族歴に母方の祖母の弟が30歳代でCPA蘇生歴あり. 心電図は洞調律でtype1 Brugada型心電図であった. 冠動脈造影では, 優位狭窄はみられず, アセチルコリン負荷によるspasm誘発では, 左冠動脈で, び漫性に狭窄し陽性と判断した. 心臓電気生理学的検査(EPS)では, 右室流出路より心室期外刺激600/240/230msで, 再現性をもってVFが誘発された. 植込み型除細動器(ICD)植え込みを施行し退院したが, 5月3日飲酒中に, VFでICDが4回作動していた. VFの出現は, いずれも飲酒中であり, Brugada症候群で飲酒が誘因となった報告は, 珍しく, 報告する.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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