心臓
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第23回 心臓性急死研究会
電話によるCPRの指導により救命し得た特発性心室細動の1例
齋藤 友紀雄五関 善成荒井 悌子大滝 裕香山下 淳田中 宏和石山 泰三田中 信大山科 章
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_87-S2_91

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抄録

症例は42歳, 男性. 自宅で夜間就寝中に突然うなり声を発した後, 意識消失したため, 妻が救急要請した. 娘が心肺蘇生術(CPR)の講習受講者であったため, 確認したところ, 心肺停止状態で消防庁司令室の指示により協力して, 11歳の息子が胸骨圧迫を開始した. 救急隊現着時, モニター上, 心静止であったため, 救急隊がCPRを引き継いだところ心室細動(VF)波形となった. DC 200J施行し, CPR継続したところ心拍再開した(心停止時間16分). 当院救急センター搬送後, 低体温療法開始し, 神経学的な後遺症は認めなかった. 冠動脈造影上有意狭窄なく, アセチルコリン負荷は陰性であった. ピルジカイニド負荷試験では右側胸部誘導にST変化を認めなかった. 心臓超音波検査では心機能良好で, 器質的心疾患を認めなかった. 重度睡眠時無呼吸症候群を認めたが, CPAP療法は希望しなかった. 特発性心室細動の診断で, 第21病日に植込み型除細動器(ICD)植え込み術を施行し, 以後経過良好にて退院した. 現在までのところ, ICD作動は認めていない.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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