心臓
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第23回 臨床不整脈研究会
心外膜側に心室頻拍のchannelを認め, 心内膜側からmid diastolic potentialのfar field potentialが観察されたICD stormの1例
林 健太郎合屋 雅彦廣島 謙一大江 征嗣牧原 優永島 道雄安 珍守福永 真人岩淵 成志延吉 正清丹生 治司
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2011 年 43 巻 SUPPL.3 号 p. S3_117-S3_124

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抄録
症例は71歳, 男性, 陳旧性心筋梗塞に伴う心室頻拍(VT)の診断で植込み型除細動器(ICD)を留置され, 外来フォローされていた. 入院当日, 朝方より頻回のICD作動があり, 入院の上, 抗不整脈薬を投与したが, VTの抑制が困難で準緊急的にカテーテルアブレーション(CA)を施行した. 心内膜側には, 心尖部を中心に広範な低電位領域(LVA)を認めるも再現性のあるdelayed potentialは認めなかった. Clinical VT(RBBB, CL 446msec)中にも拡張期にはvoltageの低いdullな電位が認められるのみで, 局所電位を示すようなmid diastolic potentialは認めず, pace mappingが一致する部位, VTの最早期での通電は無効であった. 続いて心外膜側にアプローチし, 心尖部を中心とするLVA内にdelayed potentialが確認され, 同部位でのペーシングにてclinical VTと一致した波形が認められ, そのままclinical VTが誘発された. 同部位ではmid diastolic potentialが記録され, 通電により4.6秒でVTは停止, 周辺部位に通電を追加しセッションを終了した. VTが停止した通電部位が心内膜側でvoltageの低いdullな拡張期電位が認められた部位と解剖学的に近接していた. その後は, 抗不整脈薬を投与せず経過観察し, ICD作動を認めていない. 心外膜側でconcealed entrainmentが確認され, 心外膜アプローチによるCAにより救命しえた貴重な1例と考えられ, また, 心外膜側のmid diastolic potentialのfar field potentialが心内膜側から観察された稀な1例と考えられ, 報告する.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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